[アブドーラ・ザ・ブッチャーの言葉]

2008-12-11

【文藝春秋】

私は日本が大好きだ。ただ、残念なことに、最近の日本は以前と変わってしまった。私の知る日本人像も古くなったようだ。日本人は勤勉で家族を養い、子どもたちは親を敬う。私は昔からこう思っていたが、現在はそうした日本人が少なくなってきたように感じられてならない。私はそれが寂しい。


なぜ日本は変わってしまったのだろう。私が思うに、日本は外国のあらゆるものを取り入れすぎてしまったからではないだろうか。とくにアメリカナイズされすぎてしまったように感じる。世界各国をプロレスで回ってきた経験からそう思うのだ。


若者はアメリカの悪い部分ばかりを真似している。


日本人は黒髪なのに、ピンクやグリーンに染めてる若者もいる。黒人になりたいのか、褐色に日焼けして、髪もアフロヘアで、服からチェーンを垂らしている男もいる。派手な服装で肌を見せている女も多い。私は女性がそうした格好をするのはあまり好きではない。女性は多くを見せてはいけないものだろう。少しだけ見せて、あとは男性に想像させないと。


いまの若者たちは欲しいものがあれば、まずカードで買う。そして、その支払いのために働いている。しかし、これでは順番が違うのではないだろうか。欲しいものがあるなら、まずはお金を稼いで、貯金しなければならない。


働いていない若い人に伝えたいのは、世の中に簡単な仕事などないということだ。私の仕事も楽ではない。アメリカから飛行機でやってきて、バスか電車に乗ってホテルへ行く。翌日から迎えのバスが来て、会場で着替え、試合をして、ホテルへ戻る。翌日には別の町へ移動して……この繰り返しだ。

[ アブドーラ・ザ・ブッチャー ]