[木村剛の言葉]

2009-08-10

【通貨が堕落するとき】

いいかい、ペイオフを延期するってことは、債務超過を解消しようとする問題銀行が筋の悪いあらゆることに手を出すチャンスを与えるってことに過ぎないんだよ。悪い財務体質がもっと悪くなるだけ。


国家予算を司る主計局で鍛えぬかれたプロフェッショナルの目で見れば、銀行局がやっていることは穴だらけだ。本流でないやつらは仕事も一流じゃない


要するに、日本では経済の基本法である商法と市場の基本法である証券取引法が守られていないということだ。これで信用してくれと言う方がどうかしている


本当は他人のカネだが、受託者責任の希薄な日本では、自分のカネのように自由に使える。


徹底した個人主義に立脚した米国人にとって、嘘つきというのは最大の侮辱の言葉である。


日本では、何事も行きつくところまで行かないと、大胆な方向転換ができないんだ


不良債権問題自体は、他の国々においても別に珍しい話ではなく、IMF加盟国の三分の二は何らかの形で不良債権問題に端を発した銀行危機を経験している。しかしそれらの国のほとんどは、銀行危機を三年から五年以内に終結させている。そこが日本との大きな違いであった。


キャリアだったら、本心は心の奥底に隠して厳重に鍵をかけておくもんさ。絶対に他人に悟らせちゃなんねえ。そうでないと、大蔵省では偉くなんねえよ。


「国力は通貨の信用力で決まる」 これはすべての国の中央銀行総裁の信念である。


飛ばし。この言葉は、日本の金融を象徴するものとして、"Tobashi"という英語にまでなった。


ペイオフ延期論というものの本当の根源を突き詰めると、政府不信論に突き当たる。


金融当局は万能ではないが、彼らに任せれば、少なくとも財務内容が悪いところから整然と処理していくということになる。しかし、マーケットでは脇の甘いところから急に売りに出される。それがマーケットなのだ。信用力が多少良くても、脇が甘かったらターゲットになる。

[木村 剛]