[辰吉丈一郎の言葉]

2009-07-04

【BOXER

本や人から得た知識も大事だろうが、自分で試行錯誤しながらいろんなことを試した経験は何物にも代えがたい。


幸も不幸も自分の考え方次第。だったら、悪いことを挙げつらうより、いいことを素直に喜んだほうがよっぽど精神的にもいいというものだ。


確かに勝負には負けた。が、己に負けるのだけは死んでもイヤだ。自問自答していると、答えは常にそこに行きつく。


アレも試してみたい、コレもやってみたい。限界に達した選手がそんなことを考えるだろうか。発展途上にいるからこそ興味がわき出るのだ。


プロボクサーという職業は、他のスポーツ選手に比べてマスコミや周囲から“引退勧告”される機会が多い職業だと思う。


ボクシングは階級別の競技であり、ウェートという規制があって成り立っているものなのだから、必要以上に減量が苦しいとアピールするのもおかしなものだ。選手なら誰でもそれを承知の上で、ボクシングをやっているのだから。


キツイ練習をしていても朝からメシをワシワシ喰うヤツはやはり伸びるし、反対に「もったいない!」と思うほどメシを残すヤツは生き残れない。ボクサーという体が資本の商売をしているとてきめんにそれが表れるから面白い。

[ 辰吉 丈一郎 ]